幸福の欠片.10
SIDE:渡邊オサム 2008.由梨ゆかり
「なぁ、オサムちゃんアイツももう試食済み?」
「………」
「そりゃ淫乱なオサムちゃんは俺らだけじゃ足らへんもんなぁ〜」
「アイツの方がヨかった?」
俺の頭上で繰り広げられる卑劣な会話。
幾度となく投げ掛けられる無粋な質問に答えるつもりは毛頭なく、けれど無視をしたらしたでまた何をされるか解らないので俺は感じて余裕の無いふりをする。
こうすれば、こいつらは喜ぶし、俺は嫌な問いに対して返事をする必要も無いしで一石二鳥や。
こんな事に長けた所で何も自慢出来る事にもならんのやけど。
「アイツ王子様気取りやったけど、オサムちゃん俺らから逃れようやなんて思わんときや?」
「…………」
「俺らに逆ろうたらコレ、学校中にバラまいたる」
「そんな事になったらオサムちゃん即行クビやなぁ〜」
笑いながら生徒が取り出した一枚の写真。
ヒラヒラと念を押すかの様に見せ付けるそれには今、自分が生徒達とこういう関係になってしまう事になった原因が写し出されていた。
自分の不注意が原因で撮られてしまったモノで、俺の弱み。
この写真がある限り、情けない話、俺はこの生徒達に逆らう訳にはいかなかった。
俺は奥歯を噛み締めながらも表面上、その写真には興味の無い振りをして腰を揺らし続きを促す。
そんな俺の様子に生徒達は満足そうに笑った。
「なんや心配する必要はなさそうやけどな」
「ほんま、オサムちゃんコレが好きなんやなぁ〜」
「しっかり味わいぃや」
次は俺の番だとか、体位がどうだとか。
それ以降の会話は行為に興味を持ったばかりの思春期の少年達らしい会話が繰り広げられていたが、俺にはそういった事はどうでも良い事で、されるがままの状態で先程別れた一人の子供の事を思い出していた。
千歳……傷つけてしもたな…。
心の中で謝罪する。
俺の所為で。
あんな辛そうな顔させてしもうた。
俺の事を心配して。
俺を守ろうとしてくれた千歳。
なのに。
その優しさを踏みにじった。
本日何度目になるのか解らない白濁を体内に受け入れながら、あの優しい子供の傷ついた顔を思い出し、心が痛んだ。
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